DELAYED ECHOLALIA [2008]

「遅延性エコラリア」(2008)

インスタレーション

 障害児が特徴的なフレーズを覚え、公共空間などで突然披露する発語を「エコラリア」と呼ぶ。4つのトランペットスピーカーからは、それぞれ異なるエコラリアが、一定のサイクルで発せられる。また、スピーカーの近くに、「いつ」「何処」で「誰」による発語なのかをテキストで示した。鑑賞者は、エコラリアを耳にすると、そのフレーズが持つ独特の語調やその場の環境との不一致に、笑い声をあげる。しかし、声の主を知った途端、神妙な面持ちへと変化する。障害児の発語に対し、「笑ってはいけない」という暗黙の倫理は、一体何処から来るのだろうか。それは、人の心に潜む差別に無意識に被せた偽善という名のベールに他ならない。

【4種類のエコラリア】

スケベー、スケベ。スケベー、スケベ。
16歳ですか?あと2年早いですよ。
スケベー、スケベ。スケベー、スケベ。
(いつ:2005年11月/どこ:電車内/誰:自閉症の男子児童)

ごめんなさい、本当にごめんなさい。
そんなつもりじゃなかったの。
私が全部悪かったの。ごめんなさい。
でも本当にそんなつもりじゃなかったのよ。
これは私の責任よ。
ごめんなさい、ごめんなさいね。本当にごめんなさい。
(いつ:2002年5月/どこ:バス車内/誰:知的障害・肢体不自由の女子児童)

ばかばかし。
(いつ:2002年6月/どこ:アトリエ/誰:ダウン症候群の男子児童)

心理学、心理学 ………しん……心理学
僕は心理学を勉強しているんだ……
Eysenckを知ってる?僕はその本を探しているんだ。
心理学、心理学 ………しん……心理学
(いつ:2007年12月/どこ:本屋/誰:知的障害の男性)