Artist Statement

 私の関心事は、「人の心」である。私は、「芸術とは社会変革である」という芸術概念を持つ芸術家として、また知的障害者の伯母を持つ一人の人間として、「障害者問題を社会へ広く位置づける芸術」活動と研究を専門としている。この芸術は、これまで限定的に行われてきた障害当事者に向けた福祉的な政策や、社会へ向けた対処療法としての差別規制とは一線を画し、障害者に無関心な人・差別的な人の心に潜む偏見へ直接揺さぶりをかけ、偏見する心を自己覚知に導くための社会的効能を持つ。また、私は、障害者と芸術の関係に留まらず、社会問題の根底に宿る「人の心」の性質に関心があり、人間と社会のより良い関係形成に役立つ芸術のあり方や可能性を追求するソーシャル・アーティストとして活動を続けている。

 社会とは、一人ひとりの人間で成り立っており、個人の変化なくして社会の変革は望めない。人は多数派に属する時、その境界線の外にいる人々の生きづらさに関心を持ちにくい。私は、人に寄り添い弱さを認め、その心の歪みに具体的な問いかけをする芸術活動に価値を見出している。そして、その芸術を享受した人に、これまでの規範への問い直しや、他を慮り多様性を認める心の拡張が生じる時、私は、これを「芸術による社会変革」と位置づける。今日、多くの芸術は、象牙の塔での研究対象として、社会とは切り離された「孤立型芸術」となるか、人間の欲望へ従属し、貨幣価値に変換可能な商品としての「物質主義型芸術」と化し、現社会の芸術需要の偏りを促進し続けている。しかし、私の芸術はこれらの芸術とは異なり、全ての人間に無償で共有される「智の財産」として、社会のあり方へ活かすことが出来る芸術なのである。

キーワード:ソーシャル・アート、社会変革、社会問題、障害の社会モデル、障害者問題