WORK 5
低温火傷
Low Temperature Burn

2007年/ミクストメディア/H800 W1800 D1000
私は、イギリスに住み始めた当時、人種差別やカルチャーショックを感じ、薄い壁の向うで毎晩のようにパーティーを楽しむティーンネージャーの女の子たちに聞こえないよう声を殺して泣いていました。毎朝、黒く長い頭髪が残る湿った枕を凝視するうちに、その枕が弱い自分の分身であるかのように感じました。
しかし、私は、悪化する心理状態を周囲に悟られないよう元気に振る舞っていました。本作品のタイトルにもなっている「低温火傷」の症状は、高温による火傷とは異なり、表面には症状が現れませんが、皮膚の深部が重傷化し治りにくく、当時の私の心理状態を象徴しています。本作品は、26歳のポートレートです。鑑賞者は、人肌そっくりの枕に触れ私の体温を感じることができます。
協力:株式会社スリーハイ/株式会社ダイワ北海通商